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2023.7.27 /
高度IT人材を目指すための「第四次産業革命スキル習得講座」とは?利用できる給付金・助成金制度も併せて解説!
目次
少子高齢化が進み、「企業の人手不足」が顕著になっている中で、解決策の一つとして挙げられるのが「ITシステムを導入して、人的作業を減少させる」等があります。
このような解決策を実施するために、高度なITスキルを有した人材が求められますが、現実としてIT人材も慢性的に不足していることが問題となっているのです。
高度IT人材を創出するために、経済産業省が主体となって開始されたのが「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」であり、注目を集めています。
今回の記事では、「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」の概要から目指すべき目標レベル、連携して利用できる給付金・助成金制度にも触れて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
「第四次産業革命スキル習得講座」とは?
「第四次産業革命スキル習得講座」は経済産業省によって、以下のように定義されています。
「IT・データを中心とした将来の成長が強く見込まれ、雇用創出に貢献する分野において、社会人が高度な専門性を身に付けてキャリアアップを図る、専門的・実践的な教育訓練講座を経済産業大臣が認定する制度。」
2023年4月30日時点で、128講座が認定の適用を受けており、広がりを見せているのです。
創設された背景とは?
「IT」「データ」分野が世界的に見ても今後伸びていくことが予想されています。
しかし、現在は伸びていく業界に対する人材育成に掛かる投資が大きく行われていなかったこともあり、今後はIT・データ等の分野に重点化した「人材育成の抜本的強化」が鍵となるでしょう。
現在の会社で就業を続けながら、第4次産業革命を見据えた能力・スキルを獲得できる職業訓練の場を充実することが大きな背景です。
「第四次産業革命スキル習得講座」が導入された目的
導入目的としては、以下のように定義されています。
「将来の成長が強く見込まれ、雇用創出に貢献する分野において、社会で働く一人一人が、より高度な専門性を獲得するとともに、スキル転換を促進し、様々な専門性を活用して事業を創出等する能力・スキルを獲得することができると認められる専門的かつ実践的な教育訓練を経済産業大臣が認定、奨励することで、社会人のキャリア形成を図ることを目的とする。」
働きながら、新しい専門性を創出するため、社会人の新しいキャリアパスとしても注目を集めています。
「第四次産業革命スキル習得講座」が目指す目標レベルと対象分野とは?
今後伸びていく分野の高度スキル人材を創出する制度であることをここまで説明しましたが、具体的に対象となる分野と目指す目標レベルについても触れて解説します。
ITSSレベル4相当を目指す
「第四次産業革命スキル習得講座」では、目指す目標を「ITSSレベル4」と定義しています。
「ITSS」とは、「ITスキル標準」とも呼ばれる経済産業省が策定したIT人材に対するスキル体系のことです。
「現状の保有スキルを数値化」「どのスキルを強化する必要があるか」を相対的にチェックすることができます。
目標に定められている「レベル4」は、以下のような水準です。
・ひとつまたは複数の専門を獲得したプロフェッショナルとして、専門スキルを駆使して、業務上の課題の発見と解決をリードするレベル
・プロフェッショナルとして求められる、経験の知識化とその応用(後進育成)に貢献する
対象となる分野とは?
「第四次産業革命スキル習得講座」が対象としている分野は以下の通りです。
- IT分野
・新技術・システム:クラウド、IoT、AI、データサイエンス
・IT利活用分野:自動車モデルベース開発、自動運転、生産システム設計
- IT利活用分野
・自動車モデルベース開発、自動運転、生産システム設計
「第四次産業革命スキル習得講座」に登録されている講座・実施機関の要件
2023年4月現在で128講座が登録されていますが、企業が提供する講座が「第四次産業革命スキル習得講座」に登録するために必要な要件は以下の通りです。
■講座の要件
- 育成する職業、能力、スキル、訓練の内容を公表していること
- 必要な実務知識、技術、技能を習得できる教育訓練であること
- 実習、実技、演習又は発表などが含まれる実践的な授業がカリキュラムの半分以上を占めていること
- 審査、試験等により教育訓練の成果を評価していること
- eラーニング等の社会人が受けやすい工夫をしていること
- 事後評価の仕組みを構築していること
■実施機関の要件
- 継続的・安定的に遂行できること(講座の実績・財務状況等)
- 適切に実施するための組織及び設備等を有すること
- 欠格要件等に該当しないこと
「第四次産業革命スキル習得講座」受講によって利用できる給付金・助成金制度とは?
「第四次産業革命スキル習得講座」受講した際に、厚生労働省が提供する給付金・助成金制度を利用することができます。以下で、具体的な制度を紹介するので、参考にしてください、
専門実践教育訓練給付金
専門実践教育訓練給付金制度とは、労働者の中長期的なキャリア形成を支援するための制度です。
一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者等(在職者)または一般被保険者等であった方(離職者)が、厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練を受講している間、または修了した場合、その受講のために本人が支払った教育訓練経費の50%(年間上限40万円)を、最大3年まで、ハローワークから支給されます。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費・訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。
企業の高度IT人材育成のために「第四次産業革命スキル習得講座」を活用しよう!
「労働者」「企業」それぞれの視点で、今後多くの需要が求められる「IT」「データ」関連のスキルを取得することは「所得アップ」「会社全体の売り上げ向上」などに繋がり、多くの恩恵が受けられます。
高度IT人材を育てるためにも、ぜひ「第四次産業革命スキル習得講座」を活用しましょう。
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